フランスのパリではファッション関係の展示会が
毎月のように開催されています。
主なものは、Paris sur mode、
Premiere classe、
Transi paris women's、
Womon paris ss18、
Denim premiere vision、
PV展・Premiere vision、そして
TW展・Tex worldです。
素材総合見本市プルミエール・ヴィジョンPV展の開催は2月、9月の年2回で、
先日の9月19日から21日までパリで開催されました。
50か国、1,700社、来場者が6万人という規模は破格に大きい展示会です。
主な国別出展社は、イタリア657社、フランス256社、トルコ166社、イギリス144社、スペイン90社で日本からは59社が出展しました。
ファッショントレンドもこの展示会から起きることが多く、ファッション関係者にとっては、外せない展示会という位置づけです。この展示会は誰でも彼でも出展できると云う訳ではなく、選考委員会の審査を受けなければなりません。
出品される製品の品質や企業としての社会的な信用が一定以上のレベルを維持していないと許可されません。来場者にとっては、安心して品定めをし、商談ができるという利点ことになります。
出展社の中には、その会社の招待状がないと入場させないというところもあります。
会社独自の内覧会をこの展示会場内で行うという形です。すでに取引のある会社の
バイヤーが来場者の中心になります。物見遊山の来場者や物まね目的のライバル会社を
排除して即、次のシーズンの企画のための買い付け・選定の取引の場所となります。
かつて日本のテキスタイルの展示会でもバイヤー専用コーナー作って、来場者を選別したこともありましたが、続かなかったところをみると、いい評価にならなかったということでしょう。ひたすら広く沢山のお客様に見てもらいたいというのは、展示会の基本ですが、このような制限する形も有効ということなのでしょう。招待状を持って入場するバイヤーの気持ちは、特別感があり高揚して予定以上の買い付けをしてしまうという心理が働くのかもしれません。いずれにしても、PV展(プルミエール・ヴィジョン)に出展しているというだけでステータスになるというところが、この展示会の価値のようです。
さて、この誇り高きPV展に対して、一段低い所に位置しているのが、TW展テックスワールドです。この展示会で、2〜3年勉強してそれからPV展にチャレンジするという企業が多いようです。生地を始めとする総合的な繊維の展示会で、2011年秋展のデータを見ると27か国、828社入場者15,500人の規模でした。事前登録すれば誰でも入場でき、無料という気楽さです。今年は9月18日から21日まで開催されました。27か国997社が出展しました。
主な国別出展社は、圧倒的な中国605社、続いてトルコ96社、韓国80社、インド67社、
台湾37社、パキスタン25社、香港19社、タイ15社、インドネシア11社、バングラディッシュ3社、日本からは数社でした。
この展示会の出展社から見えるのは、低価格品のボリュームゾーンを求める企業、向けということですが、顕著な傾向としては、エコロジーとかサステナブルとかのエシカルなテーマが目立ち始めていることです。
今回特にサステナブルの要素の高い企業には特別な看板表示をして強調していました。75社がこのお墨付きを得て、サステナブル企業としてアピールしていました。まだ全体の10%以下ですが、その意義は大きいと思います。オーガニックコットンの他、オーガニックリネン、天然素材を染料とする染色、ジーンズの工程で出る切れ端や糸くずの再利用品他、エシカルなアイディアが沢山みられました。以下各社のコメントを要約してみます。
「3年くらい前からエシカルテーマの引き合いが増えてきた」
「低価格ブランド、高級ブランドを問わず、バイヤーはエコを謳える商品を必ず差し込むようになっている」
「バイヤーたちには、エコロジーは世界的な関心事であるし、将来的に重要になるのは必然であるという認識がある」
これに対して、PVの運営者のコメントは、エシカルやエコロジーというテーマは、毎回、関連団体から求められているが、PV側から大きなムーブメントを起こすつもりはない。このテーマは、プロジェクトの前のガジェット(目新しい提案)程度の位置づけと考えているとしてあまり積極的とは云えないようです。確かに今年のPV展のテーマに「エコロジー・自然に帰る」というテーマは流れていたようですが、特別な括り方をして強調したわけではありませんでした。それでもグッチ、プラダ、ヴァレンティノ、ヴェルサーチなどイタリアの
大手ブランドは、こぞって衣料品製造に使用される化学物質の安全規定を作るべく行動を
開始しており、展示会でもこの点をアピールしていたとのことです。
消費者の安全性への希望、主張が大手ブランドの耳に確実に届いてきていることが伺えます。
文責:日本オーガニックコットン流通機構
顧問 宮嵜道男
2017/9/28